こちらはたまさんのお誕生日に合わせて書かせていただいたものです。みんなもわらわちゃんを愛そう! ◇◇◇ おしなべて好評だったと言えるでしょう。 そんな意見が聞きたかったわけじゃない、とぼくはテーブルを叩きそうになって自制した。涼やかな目の秘書が…
かなり前に半分くらい消えて放置していたものです。突貫で完成させました! 放課後文殊クラブで発行された一白界談の自分のお話について語っていきます。 ※様々なタブーをおかしています。あと作中で全然描写していない裏話とかもどんどんでてくるので、自己…
今回の記事では、エイプリルフールの突発企画「嘘だらけ本」の解剖をしていきたいと思います。この「嘘だらけ本」という企画名は今考えました。 当初私はなにもするつもりがなく、完全に4月1日を受け手として迎えるつもりでした。ところが、いつものように…
ディン、ドン。 スマートフォンの通知で目が覚める。買った時には既に入っているカレンダーアプリは、一度繰り返し設定にしてしまうと毎回同じ時間に決まって俺を叩き起こした。こうなることがわかっていたのに、持ち帰った課題に取り組んでいた俺も悪い。と…
「種も仕掛けもございません」 ワン・ツー・スリー。 あれは、一晩中雪が降っていた次の日のことだった。その日の明け方、屋根の上から時折ぼっ、と音を立てて塊が落ちると、それに合わせて猫のロートが尻尾を揺らしていた。 ロートは赤毛に緑の目のそれはそ…
僕は赤信号にクラクションが鳴る車道を横切り、ガードレールにもたれかかるようにして歩道に転がり出た。 自分の身体など開いて見てみたことなどないというのに、実感として骨が内臓を突き破っていることがわかっている。そう長くないこれからの人生のことな…
直近三作について、いろいろお話してしまう。 「パンスペルミアのペンギンが見えるか」 最初の仮題は眼石病でした。 当初はアイズトゥアイズで同じ病の人間が出会い、引力で惹かれあうと傍で人が死ぬ話でした。がんせきって読めるなってところから発想が広が…
meeさんのお誕生日のお祝いに書かせていただきました。お祝いかこれが。 * ここはゴミ箱なんだね。とあなたが言った。 庭に大きな穴をくつろげて、私はそこにいらない原稿用紙をばら撒いた。そうかもしれない。そんな気がしてきた。 私が穴に落としたのは夢…
小型バスは山道をゆっくりと走っていた。「博愛観光」と記されたそのスリムな車体はくねくねと曲がるカーブを順調にこなし、温泉街に向かって進んでいく。満員の車内ではぴったり同じ数の男女が飲食をしながら談笑し、親睦を深めていた。二十四名の乗客、彼…
━━る、か。 ━━み、え━━る、か。 ━━あの真昼の星、一等輝く空の光が見えるかい。君を探す一番星。一人は怖いと泣いている。君たちの出会いを祝福したい。 どうか受け取ってほしい、新しい人。新しい命。どうか、きっと気に入ってほしい。人よ、言の葉を見るが…
「紫陽花って好き」 嘘にもならない嘘を吐いた。もう、十年以上前になる。中学時代の写生だったか地域のレポートだったか、校外学習で近所のお寺に訪れた時のことだ。 班長の斉藤くんがじっと紫陽花を見つめていたものだから、話すきっかけ程度に口にしたも…
空はもうもうとした煙のような雲に覆われ、湿気を帯びた風はもうすぐ雨が降りそうだと予告する。濃紺に灰を垂らした空には、脅かされない絶対さを伴って丸い月が大仰に座り込んでいた。 この地域、コート一枚では随分冷える。もし俺が風邪など引いてかえれば…