室内人類学

犬歯の短小化が起きていない=人類ではない

四人の馬鹿がおりまして

 今回の記事では、エイプリルフールの突発企画「嘘だらけ本」の解剖をしていきたいと思います。この「嘘だらけ本」という企画名は今考えました。

 当初私はなにもするつもりがなく、完全に4月1日を受け手として迎えるつもりでした。ところが、いつものようにmeeさんが「なにをしますか!」と思い立ち、tamaさんより企画が持ち上がり、私がそれに賛同し、全会一致になるいう形で始まった企画でした。

 3月最後の日、多分19時前とかそのあたりの時間に企画が確定したもので、実際の作業は大抵22時以降に始まるものですから大騒ぎでしたね。

 コンセプトは全部嘘。互いがどのような作品を作るかもわからないまま、meeさんは表紙を、私が本文を、tamaさんが解説を書く、というめちゃくちゃなものです。それぞれ存在しないものを懸命に書くという馬鹿馬鹿しい催しを、大笑いしながら作りました。やはり馬鹿というのは真剣にやらなくては面白くないですからね。

 

 解剖、と言っても私はお二人の制作意図を知らないので、勝手な妄想による考えを描かせていただきます。

 表紙は「なにものにも見える、なんでもないもの」を意図されたのかな、と思っています。なんですか、ビビットな色彩で肉薄した作中の「アレ」って。てきとうなことを言いすぎている装丁の説明にも相当笑いました。しかも作中では表紙を切り取る変な人が出てくるんですか。なにそれ……めっちゃおもろいやん……読みたすぎるんですけど「ピンポイント・ドール」……多分それ私好きなやつですよ。

 というか、表紙のデザインがマジで良すぎるんですよね。私がビビットな色彩が好きなことを汲んでくれているんでしょうか。不気味でグロテスクで、なのにどこか愛嬌のあるイラストが、本当に私の作品とマッチしていて素敵でした。

 なんか単純にファンアートをいただいたような幸福がありました。ラッキー。

 

 解説はtamaさん渾身の怪文書でしたね。

 なんですかその「おきもち曼荼羅」って。シリーズになってるんですかしかも。463作目のところで「しろみ」になっている優しさがすきです。tamaさんのこういう言葉遊び好きなところはキャラクターとして引き上げやすい要素です。

 文章の勢いだけでもずっと笑っていたのですが、おかしいところがありすぎてツッコミきれないんですよね。meeさんが総理大臣賞と政界進出に関連性あるんですか!?と言った時には本当に堪えきれなくて夜中に大きな声を出して笑ってしまいました。

 書いている最中「お二人ともてきとうな言葉と好きな色を教えてください」というアンケートがあったので「ロキソニン」と私が答えmeeさんが「ピンク」と答えたのがまさか文中でああ使われるとは。ロキソニンはもともとピンクなんですよ。

 あと私が認められるの後世すぎて笑いました。最後の一文に出てくるシロナガスクジラが好きだったんですが本番バージョンでは消えていて泣きました。

 

 そして私の作品「四人馬鹿」ですが。

この作品を解剖する鍵はいくつかあります。まず、この本が放課後文殊クラブの創作物であり、それぞれにモチーフとなるキャラクターが存在していること。ガワの性別を変えるのはエイプリルフールの醍醐味ですよね。というわけで。

 

 mee→目→耳→ミミ。三馬鹿のツッコミ役兼まとめ役。

 tama→環式→鎖式→サシキ。三馬鹿のボケ担当兼相談役。

 maruya→丸山→角海→カクカイ。三馬鹿のサボリ担当兼意味深役。

 

 という彼らの真夜中三馬鹿社交界がテーマでした。ちゃんとキャラデザもしてあるんですよ。

 三人は嘘の日をそれらしくするためだけに生まれた存在です。文殊クラブの三人の分身体のようなもので、四月二日には消えてしまいます。彼らは自らが消えるために謎を解いて部屋を出て行こうとしているんですね。

 “”で囲まれた単語はすべて4月1日と関係している言葉です。この日に“ラフマニノフ”は生まれたそうです。誕生石である“ダイヤモンド”の石言葉が“清浄無垢”らしいですよ。これから清浄無垢な少年が現れますよ~という始まりです。

 調べてみると、当たり前のことですが年度初めだから色々な団体が発足したり、法律が制定されたりしているんですよね。

 

 そして、この三馬鹿にお付き合いくださる、もう一人の馬鹿。空いた椅子に座るのが、四月馬鹿を楽しみ、あのPDFを覗いてくださった皆様おひとりおひとりになります。

 作品はマルヤが書いているので、途中言及される「ですげーむ」のマスターは私になります。これはtamaさんが夕方「デスゲームものでも書いたらいいのでは」と仰っていたので、私たちの分身体を殺すことでそれを達成しようと思いました。誰も自分が殺されると思って提案してないでしょ……。

 あと、どうせなら一緒に死にたいのでみんなで解いて馬鹿馬鹿しいオチで死んでもらおうと思いました。言ってること危険思想みたいになっているのですが、なぜなんです?

 

ラストで三馬鹿は、元の三人の神に戻るため、という大筋を「らしくしながら」実行していきます。4月1日は嘘の新年。新しい年度を迎えるために、一層新しい挑戦をする自分たちに出会うための日に。

 ミミがコートを脱いだのは“衣替え”だからです。ガワを脱ぎ捨てるために。

 カクカイがしていたのは“腸抜き”です。内臓に執着があるマルヤらしくするために。

 最後にサシキが狐キャラ最大のライバルであるタヌキを生み出して、終了。

 四月一日=わたぬきのオチは最初に決まりました。終わりに向かって走るための、小説という虚構と向き合っている私たちの別段変わらない、そんな嘘物語でした。

 それでは、“”の中身を調べることは付き合いのいい馬鹿であるところのみなさんにお任せして、私も私らしく4月2日を始めることにします。

 お昼寝でもしようかな!